[タイ]反政府集会が3日目に 血液を首相府前にぶちまける

 【バンコク西尾英之】タイのタクシン元首相派「反独裁民主戦線」(UDD)によるバンコク中心部での大規模反政府抗議集会は16日、3日目を迎えた。UDDはこの日、集会参加者から1人10ミリリットルの血液を採り、集めた血液を同日夕、首相府前とアピシット政権与党の民主党本部前にぶちまけ、「議会解散」「総選挙実施」要求に応じないアピシット首相に抗議した。 タイの保健当局や赤十字社は、採血時に血液感染症の拡大やショック症状などの健康被害をもたらす恐れがあると中止を求めた。UDDはこれを無視して16日朝から集会会場のテント内で赤シャツ姿の支持者から採血を開始。元首相を支持する看護師など医療関係者が、使い捨て注射器で数万人から採血した。 バンコク国際空港占拠事件を起こした反タクシン派組織「民主市民連合」(PAD)がタクシン政権当時、血判状を作って政権に抗議したことがあり、UDDはこれをヒントに前代未聞の作戦を立案した可能性がある。 集会参加者には元首相の地盤の北部や東北部など遠隔地から動員された年配の農民などが多い。猛暑のバンコクでの集会に疲れも見え、会場に集まる人数も減り始めている。奇抜な作戦には、内外の注目を集めるとともに、参加者の士気を高め抗議行動を一日でも長く継続する狙いもあるとみられる。 採血を受けた女性(54)は「タイに民主主義を取り戻すため、私の血をささげた」と語ったが、会場近くの商店主の男性は「本当に国のことを思うのなら、輸血が必要な患者がいる医療機関に献血すべきだ」と批判し、嫌悪感をあらわにした。

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